「アルプスに行く前に、手ごろな山で力試しをしたい」 「近場で、景色に感動できる山はないだろうか」

そんなふうに山を探しているなら、岐阜県の小秀山(こひでやま)を候補に入れてみてください。

結論からお伝えすると、小秀山は滝めぐり・岩場・大展望がひとつの日帰りコースにそろった山です。標高2,000mに届かない山ですが、二ノ谷ルートから登れば、渓谷の木道、高さ約7mの岩場、そして山頂の目の前に迫る御嶽山まで、高い山の要素をひととおり味わえます。そのぶん急登は長く、登りは二ノ谷、下りは三ノ谷と道を分けるのがおすすめです。

私は理学療法士(PT)として臨床経験10年以上、山は140座以上を歩いてきました。この記事は、2020年10月31日にソロで歩いた日帰り周回の記録です。道中の見どころに加えて、どこで体に負担がかかり、どう計画すれば安全に歩けるかを、PTの目線でまとめました。

読み終えるころには、小秀山を自分の山行計画に組み込めるかどうか、判断がつくはずです。

小秀山の山頂から目の前に望む御嶽山 秋の二ノ谷から日帰り周回 岐阜 乙女渓谷 ヤマカルテ

そもそも小秀山はどんな山?──御嶽山を眺めるための特等席

小秀山は、岐阜県中津川市と長野県木曽郡王滝村の県境にある標高1,982m(山頂標識では1,981.7m)の山です。阿寺(あてら)山地の最高峰で、日本二百名山のひとつに数えられています[1]。

岐阜側の登山口は、中津川市加子母(かしも)の乙女渓谷。渓谷沿いの遊歩道は、キャンプ場に泊まる人の散策路にもなっています。冬に夫婦滝(めおとだき)が凍ると、アイスクライミングの場所としても知られています。

体への負担という点では、こんな特徴があります。

  • 前半は濡れた木道:沢沿いの木道は歩きやすい反面、濡れているとよく滑る。現地の案内図にも注意書きがあった
  • 夫婦滝から先は急登の連続:標高約1,280mの夫婦滝から兜岩(かぶといわ・約1,850m)まで、休みなく標高を上げる。ふくらはぎと太ももの前側に負担がかかりやすい
  • カモシカ渡りは手も使う岩場:高さ約7mのほぼ垂直な岩を登る。脚だけでなく、腕・握力・体幹も使う
  • 下りは長い:標高差1,000m以上を一日で下るので、膝と太ももの前側に負担がたまる。二ノ谷を下りに使わないのは、この岩場と急登があるから
  • 秋は日が短い:コース全体の目安はおよそ7〜9時間[1]。出発が遅れると、下山が夕方の暗い時間にかかる。晩秋は雪や凍結が始まることもある

それでも私がこの山を好きなのは、何より御嶽山を眺める山として、ナンバーワンだと思っているからです。兜岩から先の稜線で御嶽山が顔を出し、山頂ではその姿が目の前いっぱいに広がります。登山口の案内図にも「御嶽山を望むなら小秀山が1番」と書かれていて、思わずうなずきました。

もうひとつは、低い山なのに、高い山の魅力がひととおり詰まっているところです。渓谷の滝、手を使う岩場、360度の展望。アルプスで出会う要素が一日で順番に現れます。だからこそ、アルプスへ行く前の練習の山としてもおすすめしたいのです。

この記事は、その小秀山を、見どころの多い二ノ谷から登って三ノ谷へ下った秋の記録です。

コースとプラン|乙女渓谷起点・二ノ谷から登って三ノ谷へ下る周回

項目データ
山・標高小秀山 1,982m(岐阜県中津川市・長野県王滝村の県境)
起点乙女渓谷キャンプ場(標高約900m)。中津川ICから車で約1時間[2]
ルート二ノ谷口 → 夫婦滝 → カモシカ渡り → 二ノ谷・三ノ谷分岐 → 兜岩 → 小秀山 →(兜岩を経て分岐へ戻る)→ 三ノ谷口 → 林道 → 二ノ谷口(反時計回りの周回)
距離・累積標高12.0km・登り下りとも約1,390m(岐阜県の公表値。二ノ谷口発着)[3]
コースタイム11.0時間(同上)[3]
岐阜県のグレーディング体力度4(10段階)・難易度B(登山経験が必要)[3]
二ノ谷ルートの目安登山口〜夫婦滝 約2km・約1時間30分/夫婦滝〜山頂 約4km・約3時間(登山口の案内図より)[4]
今回の行程2020年10月31日・日帰り・ソロ。行動7時間10分(山頂での休憩約1時間10分を含む)
小屋山頂のすぐそばに避難小屋「秀峰舎(しゅうほうしゃ)」。バイオトイレあり(冬期は閉鎖)[4]
核心部カモシカ渡り(高さ約7mの岩場)
駐車場1台500円(2020年当時。登山口の管理所にあるポストへ支払う)
出発前の確認遊歩道・登山道の通行止めは、加子母総合事務所に問い合わせて確認する[2]

距離・累積標高・コースタイムは、岐阜県の「山のグレーディング」の公表値です。二ノ谷ルートの区間ごとの目安は、登山口の案内図に書かれていた数字を載せました。累積標高が山頂と登山口の標高差(約1,100m)より大きいのは、途中の登り返しを含むためです。

この日・この形にした理由

小秀山を知ったのは、ボルダリング仲間からのすすめでした。地元・岐阜のおすすめの山として、「きついけれど絶景で、行く価値がある」と教えてもらったのです。

中津川市の奥、下呂の近くにあり、高速道路を使わず下道で行けるので交通費も抑えられます。ソロで歩く週末の行き先として、ちょうどよい山でした。

時期も理由のひとつです。10月の終わりは、高い山が初冬に入りかけるころ。雪がつき始めた中途半端な状態は、真冬の山よりむしろ苦手です。標高2,000mに届かない山なら、まだ秋の山として歩けるのではと考えました。ただし晩秋は、標高だけで雪や凍結の有無は決まりません。出かける前に、直近の登山記録や現地の情報で確かめてください。

翌日は仕事だったので、日帰りに。前日の夜に乙女渓谷キャンプ場の駐車場まで移動して車中泊し、日の出前に歩き出すことにしました。

ルートは、見どころの多い二ノ谷ルートで登り、比較的安全な三ノ谷ルートで下る一般的な反時計回りです。

実際に歩いた行程

時刻地点
6:00二ノ谷口 出発
7:10夫婦滝
8:45兜岩
9:30小秀山 山頂(約1時間10分滞在)
10:40山頂 発(三ノ谷ルートで下山)
12:40三ノ谷口
13:10二ノ谷口 着(林道を歩いて戻る)

山頂から三ノ谷へは、登ってきた稜線を兜岩の先まで戻り、二ノ谷・三ノ谷分岐から三ノ谷ルートへ下ります。

登りは、案内図の目安(約4時間30分)より早く山頂に着きました。とはいえ、歩く速さは人によって大きく変わります。県のコースタイム(11.0時間)は余裕をみた数字ですが、計画はこの公表値を基準に立て、山頂を出る時刻と引き返す時刻を先に決めておくのが安全です。

どんな人に向いているか

  • 登山を始めたばかりの人には向かない。カモシカ渡りは手を使って登る岩場で、急登も長い
  • 目安は、標高差1,000m以上を日帰りで歩ける体力が「今」ある人。昔歩けた経験と、今の体力は別に考える
  • 岐阜県のグレーディングは難易度B。転んだ場合に転落・滑落につながる場所があり、登山経験が必要とされている[3]
  • 登山口の案内図にも、登山届が必要と書かれていた。登山口の管理棟にポストがある
  • 夫婦滝までの木道は、キャンプ場から歩くハイキングとして楽しめる。ただし片道約1時間30分(往復で約3時間)あり、濡れた木道や階段は滑る。子ども連れなら時間に余裕を。観光案内にもあるとおり、夫婦滝から先は本格的な登山になる[2]

二ノ谷口〜夫婦滝:木道で巡る乙女渓谷の滝

手描きの案内図から始まる朝

駐車料金の500円は、登山口の管理所にあるポストに入れるしくみでした。その横に、2種類の手描きのルートマップが貼られていました。

乙女渓谷キャンプ場の手描きルートマップ 夫婦滝までの見どころ 小秀山 二ノ谷ルート

日本二百名山 小秀山の手描きルートマップ 二ノ谷ルートと三ノ谷ルート 乙女渓谷

こういうイラストの地図には味があります。見どころがひと目で分かり、何より、描いた人のこの山への愛が伝わってきて、とても好きです。帰宅してからも、山行を振り返りながらじっくり読み込みました。

沢沿いのウッドデッキを歩く

山行は、二ノ谷口から始まります。

小秀山 二ノ谷登山口の標柱と乙女渓谷にかかる木橋

しばらくは渓谷に沿って、整備されたウッドデッキを歩きます。キャンプ場に来た人もハイキングできるように整えられた区間なので、とても歩きやすい道です。

乙女渓谷の沢沿いに続くウッドデッキ 小秀山 二ノ谷ルート

最初にたどり着いたのは、乙女淵です。秋のひんやりした空気と、静けさの中に響く沢の音が心地よく感じられました。

薄暗い朝の乙女淵と木道の階段 小秀山 乙女渓谷

まだ薄暗く、写真がうまく撮れませんでした。実は下山後に、ここまでだけ少し登り返して撮り直しています。

昼の光で撮り直した乙女淵の滝と木道 乙女渓谷 小秀山

屏風岩・ねじれ滝・和合の滝

次は屏風岩(びょうぶいわ)です。この大きな岩が沢の流れをさえぎり、水はここで大きく回り込んでいるそうです。

紅葉に囲まれた屏風岩の岩壁 乙女渓谷 小秀山 二ノ谷ルート

ウッドデッキはよく整備されていて、沢を渡るように何度も橋が架けられています。

沢を渡るように架けられた木橋と小さな滝 乙女渓谷の遊歩道

続くねじれ滝は小さいながら、おもしろい落ち方をする滝です。木々に隠れていますが、よく見ると岩に当たるたびに向きを変え、ねじれるように流れ落ちていました。

木々の間を岩に当たりながら流れ落ちるねじれ滝 乙女渓谷 小秀山

和合の滝も小ぶりですが、形のきれいな滝でした。

青い滝つぼに落ちる和合の滝 乙女渓谷 小秀山 二ノ谷ルート

声の泉と、天狗岩の謎

声の泉では、たしかにせせらぎがよく聞こえます。案内板には「耳を澄ますと乙女のささやきが」と添えられていました。昔はこの水を飲むと、声がよくなると言われていたそうです。

声の泉の道標。沢のせせらぎが絶えず聞こえる場所で、二ノ谷登山口から860m、夫婦滝まで1,095mの地点です。

声の泉を過ぎると、洞窟があります。暗くて写真は残せませんでしたが、昔は水晶が採れたそうです。

天狗岩は、どれがそうなのか分からず撮りそびれました。ルートマップによると、鼻に見えていた部分が折れてしまい、今は天狗に見えない大岩になっているようです。

夫婦滝展望台と、はっきり見えた烏帽子岩

夫婦滝展望台に着きましたが、木々が茂っていて滝は見えませんでした。

木々で滝が見えない夫婦滝展望台の案内板と紅葉の谷 小秀山

途中には避難小屋もあります。今回は立ち寄りませんでしたが、こうした整った小屋は、いざというときの避難先として心強いものです。

乙女渓谷の登山道沿いに建つ木造の避難小屋 小秀山 二ノ谷ルート

天狗岩とちがい、烏帽子岩(えぼしいわ)は、はっきり烏帽子の形に見えました。

青空に烏帽子の形が浮かぶ烏帽子岩のシルエット 乙女渓谷 小秀山

旧夫婦滝展望台は、やぶを少しかき分けて岩場を登った先にあります。ここからは、目をこらせば2本の滝が見えました。それでも、なかなか見づらい位置です。

旧夫婦滝展望台から見下ろす紅葉の谷 小秀山 二ノ谷ルート

この山行のあと、冬にも小秀山に登りました。そのときは、凍った2本の滝がよく見えました。冬の記録も、いずれ記事にするつもりです。

落差80mの男滝

そして、ようやく夫婦滝にたどり着きました。ここからでは残念ながら女滝は見えません。それでも、落差約80mの男滝は圧巻でした[1]。

落差約80mの夫婦滝の男滝と紅葉の岩壁 小秀山 乙女渓谷

夫婦滝〜兜岩:急登とカモシカ渡り、北アルプスまでの大展望

木道が終わり、本格的な登山道へ

しばらく滝に癒やされたあとは、ひたすら急登です。木道が整備されているのは夫婦滝まで。ここから先は一転して、本格的な登山道に変わります。

まずは滝の脇を一気に登り、80mの崖の上へ。そこから子滝、孫滝と通過していきます。

岩の間を流れ落ちる子滝と道標 小秀山 二ノ谷ルート

紅葉の中の孫滝と道標 最終水場 小秀山 二ノ谷ルート

このあたりが沢の始まりなので、案内図によると最終水場は孫滝です。この先に水場はありません。ただし沢の水なので、水量や水質は保証されていません。必要な飲み水は登山口から持っていき、沢の水を飲むなら煮沸やろ過をしてください。

鎧岩を回り込み、第一・第二展望台へ

鎧岩(よろいいわ)という巨大な岩のかたまりを回り込みます。

巨大な岩のかたまり鎧岩を見上げる 小秀山 二ノ谷ルートの急登

すると第一展望台に出て、初めて景色がぐっと開けます。展望台といっても人工物はなく、いわゆる展望地です。

第一展望台から見渡す紅葉の山並みと青空 小秀山 二ノ谷ルート

そこから10分ほどで、第二展望台にも着きます。少し標高が上がったぶん、初冬の雪をかぶった白山や別山(べっさん)が頭を出していました。

第二展望台から木々の間に見える雪をかぶった白山と別山 小秀山

名物カモシカ渡り:高さ約7mの岩壁

少し歩くと、ついに名物のカモシカ渡りに着きました。

木の根が張りめぐらされたカモシカ渡りの入り口と道標 小秀山 二ノ谷ルート

高さ約7mの岩壁を、手を使いながら登っていきます[4]。

手を使って登る高さ約7mの岩壁 カモシカ渡り 小秀山

木の根がしっかり張っていて、つかめる場所は多くあります。ふだんボルダリングをしている私には、注意して進めば技術的にそれほど難しくは感じませんでした。それでも、ほかの低い山ではなかなか味わえないハードさです。岩場に慣れていない人は、慎重に判断してください。木の根や岩は、体重を預ける前に、ぐらつかないか確かめてからつかみます。

小秀山のピラミッド・兜岩

カモシカ渡りを越えると急登は終わり、ゆったりした登山道に変わっていきます。しばらく進むと、小秀山のピラミッドとも言える兜岩が見えてきます。

木々の間に見えるとがった兜岩と逆光の太陽 小秀山 二ノ谷ルート

20分ほど登ると、標高約1,850m、兜岩のてっぺんに着きました。つんととがった岩の先に立つと、大展望が広がります。

兜岩のとがった岩の先端に立ち大展望を眺める登山者 小秀山

望遠レンズをのぞき込むと、南には恵那山(えなさん)。

兜岩から望遠で見た恵那山のシルエット 小秀山からの展望

西には鈴鹿山脈と伊吹山、北西には白山と別山が見えます。

兜岩から見た雪をかぶった白山と別山 小秀山からの展望

そして北には、北アルプス。左から北ノ俣岳、薬師岳、黒部五郎岳、小さく剱岳の頭、大きく笠ヶ岳。その右に連なる稜線の向こうには、小さく水晶岳の頭がのぞいていました。

兜岩から望遠で見た初冬の北アルプス 笠ヶ岳や薬師岳の稜線 小秀山からの展望

最高の景色を味わってから、最後の稜線に入りました。

兜岩〜山頂:稜線の先に現れる御嶽山

稜線の向こうに顔を出す御嶽山

歩き始めてまもなく、小秀山の稜線の向こう側に、ついに御嶽山が顔を出しました。さすがの近さで、迫力満点です。

小秀山の稜線の向こうに姿を現した御嶽山 兜岩から山頂への道

兜岩から先は、なだらかな稜線が続きます。外から眺めると目立たない山容ですが、そのぶん小秀山の側から見える景色は、360度の大パノラマです。

稜線を歩き、第一高原、第二高原と越えていきます。空気が澄み切った日には、名古屋駅のビル群まで見えることがあるそうです[4]。第三高原まで来れば、山頂まであと少し。

第三高原の道標と山頂へ続くなだらかな稜線 小秀山

山頂の手前には、秀峰舎というきれいな避難小屋があります。今回は立ち寄らず中の写真もありませんが、泊まったこともあるので、いずれ別の記事で紹介する予定です。

小秀山の山頂直下に建つ避難小屋 秀峰舎

山頂の目の前に、御嶽山

ついに小秀山の山頂に着きました。

小秀山山頂の丸太の山頂標識と奥にそびえる御嶽山

標高1,982mの山頂からは、目の前に大迫力の御嶽山がそびえていました。

小秀山の山頂から見た目の前にそびえる御嶽山

地獄谷から噴煙が上がっている様子まで、はっきり見えるほどの近さです。御嶽山に黒沢口から登ったときの記録は、御嶽山 黒沢口の日帰り登山にまとめています。

小秀山から望遠で見た御嶽山の地獄谷から上がる噴煙

同じころ山頂に着いた人たちと感動を分かち合い、何枚もシャッターを切り合いました。

小秀山の山頂で御嶽山を眺める筆者の後ろ姿

御嶽山のほかにも、中央アルプスはもちろん、八ヶ岳の蓼科山(たてしなやま)や北横岳などもよく見えました。

小秀山の山頂から望む遠くの山並み 八ヶ岳方面の展望

岩の上でペンネカルボナーラ

周りの人たちは、寒いからと避難小屋で食事をするそうです。私はせっかくなので、山頂付近の岩に腰かけて食べることにしました。風は冷たく、足元は崖。それでも絶好のロケーションです。展望を楽しみながら食事をするなら、転げ落ちる心配のない、平らで安定した場所を選んでください。

メニューはペンネカルボナーラ。ベーコンとブロッコリーをオリーブオイルで炒め、ゆで上がったペンネとレトルトのカルボナーラソースであえました。

小秀山の山頂付近の岩の上で作ったペンネカルボナーラ 山ごはん

三ノ谷口へ下山:紅葉の中を下り、魚止の滝へ

下りは三ノ谷ルートへ

食後は、早めに下山を始めました。二ノ谷ルートは下りに使うと危ないので、帰りは三ノ谷口を目指します。兜岩を越えて二ノ谷・三ノ谷分岐まで戻り、そこから三ノ谷ルートに入りました。案内図では、三ノ谷ルートは「なだらかな道が続く、下山によく使われるコース」と紹介されています[4]。

山頂付近は葉を落とした木ばかりでしたが、標高を下げるにつれて、少しずつ紅葉のゾーンに入っていきました。

三ノ谷ルートの下山中に見た紅葉の山肌と青空 小秀山

見上げる紅葉、向かいの山の紅葉、そして足元の紅葉。

三ノ谷ルートの足元に散った赤いモミジの落ち葉 小秀山の秋

三ノ谷口まで下ると、「山の神」と書かれた祠(ほこら)がありました。無事に下山できたお礼を伝えました。

三ノ谷口近くの山の神の祠 小秀山 三ノ谷ルート

林道歩きと魚止の滝

ここから駐車場までは、30分ほどの林道歩きです。天気がよく、気持ちのよい道でした。

黄葉に囲まれた三ノ谷口からの林道 小秀山の下山

やっぱり紅葉は、青空の下でこそ映えます。

青空の下で赤や黄色に色づいた山肌 乙女渓谷の紅葉

見上げた木漏れ日も、美しく光っていました。

紅葉の枝越しに見上げた木漏れ日 乙女渓谷 小秀山の下山

林道を抜けると、最後の見どころ、魚止の滝です。エメラルドグリーンの滝つぼが、とてもきれいでした。

エメラルドグリーンの滝つぼが美しい魚止の滝 乙女渓谷 小秀山

下山後のごほうび:下呂温泉と道の駅平成

下山後は、下道で30分ほどの下呂温泉へ向かいました。全国的に有名なだけあって、やっぱり泉質のよさを感じます。地元・岐阜の自慢のひとつです。露天風呂にのんびり浸かって、疲れを癒やしました。

青空の下の下呂温泉の旅館街と川原

帰りは道の駅 平成に寄り道して、椎茸茶と椎茸の旨煮を買いました。

ありがとう平成時代の看板が掲げられた道の駅 平成

時代は平成から令和へ。だんご屋さんの名前も、「平成」から「令和」へと引き継がれていました。下山後まで含めて、秋の行楽を満喫できた一日です。

道の駅 平成のだんご屋 令和

小秀山を計画するなら(PTの実用メモ)

二ノ谷は登りに使い、下りは三ノ谷へ

二ノ谷ルートのカモシカ渡りと夫婦滝上の急登は、下りで使わないほうが安全です。岐阜県の観光情報でも、下山は歩きやすい三ノ谷ルートがすすめられています[1]。

下りの岩場では、足を置く場所が体より低い位置になり、目で確かめにくくなります。登りより踏み外しやすく、疲れた脚ではブレーキもかかりにくい。周回なら、見どころの多い二ノ谷を登りで楽しみ、下りは三ノ谷で脚を守るのが理にかなった組み方です。

ただし三ノ谷ルートも、山頂から三ノ谷口まで長い下りが続きます。膝や太ももに不安がある人は、登山の「下り」で膝を守る歩き方も読んでおいてください。

夫婦滝から先の急登は、歩幅を小さく

夫婦滝から兜岩までは、標高差約570mを休みなく登る急登です。ここで大股になると、ふくらはぎと太ももの前側が疲れやすく、その先のカモシカ渡りや長い下りに余力を残しにくくなります。

歩幅を小さくして、息が上がらないペースを保つのが基本です。急登で脚を温存するコツは、登山の登りの歩き方|急登対策にまとめています。

秋は早出で、濡れた木道に注意

10月の終わりは日が短く、夕方にはすぐ暗くなります。今回は日の出前に歩き出したので、昼過ぎに下山できました。暗いうちに歩き出すなら、ヘッドライトは必ず持っていきます。前夜に登山口へ入って車中泊するなら、睡眠不足のまま歩き出さない工夫を登山の前泊・車中泊にまとめています。

もうひとつの注意点は、沢沿いの木道です。朝露や雨で濡れると、木道はよく滑ります。足裏全体で置き、体重を真上から乗せるのが基本です。くわしくは濡れた岩・木道で滑らない歩き方を参考にしてください。

まとめ:小秀山は、低い山で高い山の魅力を味わえる一日コース

4コマでおさらいします。

小秀山の秋の日帰り周回を4コマで紹介 乙女渓谷の滝めぐり、カモシカ渡りは三点支持で脚で押し上げる、下りは三ノ谷ルートへ、山頂からの大展望 ヤマカルテ

  • 小秀山(1,982m)は岐阜・長野県境の日本二百名山。乙女渓谷から日帰りで歩ける
  • 二ノ谷ルートは、木道の滝めぐり → 急登 → カモシカ渡り → 兜岩の大展望と見どころが続く
  • 山頂では、目の前に御嶽山。御嶽山を眺める山として、私はナンバーワンだと思っている
  • カモシカ渡りは高さ約7mの岩場。三点支持で、脚で押し上げる
  • 周回は登り二ノ谷・下り三ノ谷。二ノ谷の岩場と急登は下りに使わない
  • 秋は日が短いので、早出して昼過ぎの下山を目指す。最終水場の孫滝より先は水がないので、飲み水は持参する

滝、岩場、大展望が一日で順番に現れる小秀山は、アルプスへ向かう前の練習にもぴったりの山です。紅葉の季節に、目の前の御嶽山を見に出かけてみてください。

参考文献

  1. 岐阜県観光公式サイト 岐阜の旅ガイド. 森林浴回廊と滝、そして御嶽山の展望へ。日本三百名山「小秀山」登山ルートガイド. https://www.kankou-gifu.jp/blog/detail_531.html
  2. 岐阜県観光公式サイト 岐阜の旅ガイド. 乙女渓谷(観光スポット). https://www.kankou-gifu.jp/spot/detail_4281.html
  3. 岐阜県. 岐阜県山のグレーディング ルート一覧表2(小秀山〈ニノ谷口〉). https://www.pref.gifu.lg.jp/uploaded/attachment/363440.pdf
  4. 登山口の案内図「日本二百名山 小秀山」ルートマップ(乙女渓谷キャンプ場・2020年10月に現地で撮影).