子どもが山道を自分の足で歩き始めた。いつものスニーカーのままでいいのか、子ども用の登山靴を買うべきか。買うならどれを選び、何cmにするか。すぐ大きくなるのに、高い靴を買う意味はあるのか。子どもが山道を歩き始めた親が、山の計画より先に迷うのが靴です。

先に結論です。整備された短い道ならスニーカーで足ります。岩・木の根・ぬかるみ・長い下りがある山では、子ども用の登山靴を選びます。サイズはつま先に約1cmの余裕をとり、3か月ごとに測り直す。この3つを押さえれば、靴が原因で起きる山のトラブルを減らせます。

私は理学療法士(PT)として10年以上、歩き方と足のトラブルを見てきました。臨床で担当するのは主に大人の足で、子どもの足は大人とは別物として扱う必要があります。山は登頂140座以上で、家では2人の子の父親です。上の子は山道を少しずつ自分の足で歩き始めたところ、下の子はまだチャイルドキャリアの中です。

この記事では、3〜6歳の足がどこまで育っているか、登山靴が要る山と要らない山の線引き、試着で見るポイント、サイズの合わせ方と買い替えの目安を、研究データと実体験をもとに順に説明します。読み終えたら、まずお子さんの足を測ってください。

子どもの登山靴どう選ぶ 登山口の木の段に並べた幼児用のスニーカーとミドルカットの登山靴と布のメジャーの水彩画 足の発達とサイズの目安を理学療法士が解説 ヤマカルテ

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先に、子ども用の登山靴を1つ紹介します。私は使っていません。3〜6歳の足のほとんどが入る15cmから選べる、防水のミドルカットです。選ぶときに見てほしい点は、このあと説明します。

子どもの足は大人の足の縮小版ではない|3〜6歳の土踏まずは育つ途中

3〜6歳の子どもの足は、土踏まずがまだ育っている途中です。オーストリアの3〜6歳835人を調べた研究では、柔らかい偏平足(立つと土踏まずがつぶれ、座ると戻る足)が全体の44%にみられました[1]。

3〜6歳の土踏まずは育つ途中 オーストリアの3〜6歳835人で柔らかい偏平足は3歳54%から6歳24%へ 足跡の比較 土踏まずは靴の種類に関係なく育つ ヤマカルテ

偏平足の割合は年齢とともに下がり、3歳では54%、6歳では24%でした[1]。病的な偏平足は1%未満です。つまり、幼児の土踏まずが平らに見えるのは、多くの場合「育つ途中」の姿です。

歩き始めの子125人を5歳まで追った研究もあります。土踏まずを支える靴を履いた子も、支えのない靴を履いた子も、靴の種類に関係なく土踏まずは育ちました[2]。支える靴では3歳までの育ちが速い時期もありましたが、支えのない靴の子でも育っています。同じ研究では、足の骨の一部が骨として固まり始めるのは5歳ごろで、完成までさらに1〜2年かかるとしています[2]。

子どもに登山靴は要る?|整備された道はスニーカー、岩・ぬかるみ・長い下りは登山靴

子どもに登山靴が要るかどうかは、年齢ではなく「歩く道」で決まります。子どもの登山靴とスニーカーを山で比べた研究は、私が調べた範囲では見つかりませんでした。ここからは、靴が子どもの歩き方をどう変えるかの研究と、大人の登山靴の考え方を組み合わせた私の判断です。

スニーカーでいい?決め手は道 舗装路・遊歩道・木道で乾いた道と短い下りはスニーカー 岩・木の根・ぬかるみ・雨のあと・長い下りは子ども用の登山靴 ヤマカルテ

靴は子どもの歩き方を変えます。16歳以下の子どもを対象にした11研究のまとめでは、靴を履くと歩幅と速度が増え、足の中の動きは小さくなりました[3]。一方で、靴が成長に長い目でどう影響するかは分かっていません[3]。

靴を履くこと自体にも負担があります。9〜10歳の25人がランニングシューズと裸足で歩いた実験では、靴を履いたほうが酸素の消費が多く、体重1kgあたり毎分17.6mLと16.3mLでした[4]。ただし、この実験は靴の重さだけの影響を調べたものではありません。頑丈な靴ほど安心とは限らない、と受け止める程度にしてください。

この2つから、私は次のような目安で線を引いています。研究から出た境界ではなく、私の目安です。いちばん大事なのは道の状態で、時間は補助の目安です。

スニーカーで足りる子ども用の登山靴がほしい
道舗装路・整備された遊歩道・木道岩・木の根・砂利・ぬかるみ
天気乾いている雨のあと・雨の予報
下り短くゆるやか長い下り・急な段差
時間(補助)短い散策半日近く歩く

雨の予報のときは、靴を替えるだけでなく、行程を短くする・日を改めることも一緒に考えてください。

上の子は、山道を少しずつ自分の足で歩き始めたところです。履いているのは普段使いのニューバランスのスニーカーで、今歩いている短い区間ならこれで足りています。歩く距離が延び、岩や木の根の道に入るようになったら、子ども用の登山靴に替えるつもりです。

子どもが何歳でどのくらい歩けるかは、子どもの登山の距離とペースにまとめています。どの山から始めるかは赤ちゃん・子どもの登山は標高何mまで?も参考にしてください。

子どもの登山靴は「軽さ・曲がる位置・滑りにくいソール・かかと」で選ぶ

子どもの登山靴は、大人の登山靴のように硬さや頑丈さで選ばず、軽さ・曲がる位置・滑りにくいソール・かかとの4点で選びます。

「柔らかいほど足が育つ」とは言い切れない

靴底の柔らかさが子どもの足にどう影響するかは、まだよく分かっていません。6歳以下の262人を含む4研究のまとめでは、靴は歩幅や速度を変えましたが、靴底の硬さによる違いを示す証拠は限られていました[5]。このまとめには、筋肉の働きを調べた研究は含まれていませんでした[5]。

「裸足に近い柔らかい靴なら足が強くなる」という話は、山の靴選びの根拠にはなりません。山では、尖った石や木の根から足裏を守る厚さが必要です。

大人用と子ども用は、同じサイズでも作りが違う

同じサイズの靴でも、大人用と子ども用では作りが違います。12歳前後の女の子10人が同じサイズの大人用と子ども用の靴で走った実験では、靴底の衝撃の受け止め方が違いました[6]。どちらが安全かを決めた研究ではありません。

そのうえで私は、子どもの足の形に合わせて作られた子ども用を候補にすることをすすめます。これは研究の結論ではなく、足に合う靴を探すための実用上の判断です。

試着でのチェックポイント

メーカーの仕様で分かるのは、サイズ・重さ・防水かどうかまでです。曲がる位置やかかとの硬さは、店で手に取って確かめます。

子どもの登山靴を試着で見る4つのポイント 軽さは同じサイズで持ち比べる 曲がる位置はつま先から1/3 ソールは溝が刻まれたゴム底 かかとは押してもつぶれない ヤマカルテ

  • 軽さ:同じサイズで持ち比べて、軽いほうを候補にする。最後は子どもが歩きやすいかで決める
  • 曲がる位置:靴底がつま先から1/3あたり(指の付け根)で曲がるもの[7]。真ん中で曲がる靴、まったく曲がらない靴は避ける
  • ソール:溝がしっかり刻まれた、登山向けのゴム底。ただし、どの靴でも濡れた岩や木の根では滑ると考えて歩く
  • かかと:かかとの周りに適度な硬さがあり、指で押してもつぶれないもの[7]

留め具は、面ファスナーかゴムひもで締めるタイプが子どもには扱いやすいです。足の幅に合わせて締め具合を調整できるものを選びます[7]。

足首まで覆うミドルカットは、砂や小石が入りにくく、くるぶしを岩にぶつけにくい利点があります。ただし、ハイカットが足首の捻挫を防ぐかどうかは、大人でもはっきりしていません。くわしくは登山靴の選び方にまとめています。

雨のあとの山に行くなら、防水の靴を選びます。靴の中が濡れると足が冷え、皮膚がふやけて靴擦れもしやすくなります。

冒頭で紹介したKEENは、メーカーの仕様では15cm〜19.5cm・防水・ミドルカットで、ゴムひもで締めるタイプです。曲がる位置やかかとの硬さは、試着で確かめてください。

足が16cm以上なら、モンベルのマウンテンクルーザー200 Kid’sも候補です。メーカーの仕様では16cm〜21cm・防水・ミドルカットで、片足213g(18cm)、面ファスナーで留めます。こちらも私は使っていません。

子どもの登山靴のサイズは、つま先に約1cmの余裕をとり3か月ごとに測り直す

子どもの登山靴は、靴の中でつま先に約1cmの余裕があるものを選び、3か月ごとに足を測り直します。余裕の目安は資料によって幅があり、世田谷区の保育園向けの資料は5〜10mm[7]、オーストリアの研究は10mm以上(理想は12mm)としています[8]。

子どもの靴は、気づかないうちに小さくなっている

子どもの靴の余裕が足りていないことは珍しくありません。オーストリアの就学前の子858人を調べた研究では、靴の内側の長さが足より10mm以上長くない、つまり余裕が足りない靴を履いていた子が、室内靴で88.8%、外靴で69.4%いました[8]。余裕が少ない靴ほど、親指が外側へ曲がる角度が大きいという関係もみられています[8]。ただし、ある時点の足と靴を比べた研究なので、短い靴が親指を曲げたとまでは言えません。

小さい靴は歩き方も変えます。8〜12歳の14人が、ちょうどいいサイズ・1サイズ大きい靴・1サイズ小さい靴を履き比べた実験では、1サイズ小さい靴で足の中の動きが小さくなりました[9]。子どもがいちばん快適だと答えたのは、ちょうどいいサイズでした。

半年で、下の子の靴は小さくなっていた

わが家でも、最近下の子の靴を買い替えました。半年前に買った靴で、まだ大丈夫だと思っていました。久しぶりに足を測ると、もうサイズが合っていませんでした。子どもの足は、親が思っているよりずっと早く大きくなります。

幼児の足の伸び方には季節の差もあります。4〜5歳の154人の足を3か月ごとに測った研究では、足は春と夏に速く伸び、秋と冬は伸びがゆっくりでした[10]。そのため私は、季節が変わるごと、つまり3か月ごとに測り直すことにしました。夏山の前の春は、とくに忘れないようにしています。

子どもの足は3か月ごとに測り直す 4〜5歳154人の研究で足は春と夏に速く伸び秋と冬はゆっくり 夏山の前の春はとくに忘れずに ヤマカルテ

足の測り方とサイズ合わせ

靴の表示サイズは、靴によってつま先の余裕の含み方が違います。測った足の長さに、表示サイズの上でさらに余裕を足すと、大きすぎる靴を選んでしまうことがあります。サイズは表示ではなく、靴の中で確かめます。

子どもの足の測り方 壁につけて立つ・指先に印をつけて測る・近いサイズを出してもらう・中敷きでつま先に約1cmの余裕を確かめる 表示サイズにさらに余裕を足さない ヤマカルテ

  1. 紙を壁につけて床に置き、子どものかかとを壁につけて立たせる
  2. いちばん長い指の先に印をつけ、壁から印までを測る(左右とも測り、長いほうに合わせる)
  3. 店では、測った長さに近い表示サイズの靴を出してもらう
  4. 靴の中敷きを出して子どもの足を乗せ、つま先に約1cmの余裕があるかを目で確かめる
  5. 履かせて、幅がきつくないか・かかとが浮かないかを見る

「すぐ大きくなるから」と大きすぎる靴を選ぶのは避けてください。靴の中で足が前に滑ると、下りのたびにつま先が靴に当たり、爪を傷めます。かかとが浮いて、つまずきやすくもなります。

お下がりの靴は、靴底のすり減り方とかかとのつぶれを確かめてから使います。すり減った靴底やつぶれたかかとは、歩きにくさの原因になります[7]。

子どもの登山靴は、山の前に家と近所で慣らす

新しい子ども用の登山靴は、山に行く前に家と近所で履いて慣らします。新しい靴でいきなり山に行くと、靴擦れや「この靴いやだ」が山の途中で起きます。

子どもの登山靴は山の前に家と近所で慣らす かかとをトントンして面ファスナーを留める・山で履く靴下で試す・帰ってからかかと・くるぶし・指の赤みを見る ヤマカルテ

慣らすときは、次の3つを確かめてください。

  • 履かせ方:足を入れたらかかとを床にトントンして靴に合わせ、それから面ファスナーやひもを締める[7]
  • 靴下:山で履く靴下で試す。厚さが変わるとサイズの感じ方も変わる。素材の選び方は登山用靴下の選び方を参考にしてください
  • 帰ってからの足:靴下を脱がせて、かかと・くるぶし・指の赤みを見る。赤みが残る場所は、山で靴擦れが起きやすい場所です

慣らしの段階で嫌がるなら、サイズか形が合っていない可能性があります。山で無理に履かせる前に、店で履き比べ直してください。

子どもの装備全体は子連れ登山の持ち物と安全対策、下りで膝を痛がるときの見分け方は子どもの登山で膝が痛いときにまとめています。子どもの年齢や行程を選ぶと必要な装備が並ぶ登山の装備チェックリストも使えます。

まとめ:子どもの登山靴は「道で決めて、足に合わせて、3か月ごとに測る」

  • 3〜6歳の土踏まずは育つ途中。3歳の54%、6歳の24%が柔らかい偏平足で、多くは成長とともに変わる
  • 土踏まずは靴の種類に関係なく育つ。「土踏まずを作る靴」を探す必要はない
  • 整備された短い道ならスニーカーで足りる。岩・木の根・ぬかるみ・長い下りがある山では子ども用の登山靴を選ぶ
  • 試着で見るのは、軽さ・つま先から1/3で曲がる靴底・登山向けのソール・つぶれないかかと
  • サイズは靴の中でつま先に約1cmの余裕。幼児の外靴の約7割は余裕が足りなかったという調査もある
  • 足は春と夏に速く伸びる。3か月ごとに測り直し、夏山の前の春はとくに確かめる
  • 新しい靴は家と近所で慣らしてから山へ

靴が足に合っていれば、子どもは自分の足で歩く山を楽しめます。まずは今夜、お子さんの足を測ってみてください。

参考文献

  1. Pfeiffer M, Kotz R, Ledl T, et al. 2006. Prevalence of flat foot in preschool-aged children. Pediatrics.
  2. Gould N, Moreland M, Alvarez R, et al. 1989. Development of the child’s arch. Foot & Ankle.
  3. Wegener C, Hunt AE, Vanwanseele B, et al. 2011. Effect of children’s shoes on gait: a systematic review and meta-analysis. Journal of Foot and Ankle Research.
  4. Shultz SP, Houltham SD, Kung SM, et al. 2016. Metabolic Differences Between Shod and Barefoot Walking in Children. International Journal of Sports Medicine.
  5. Cranage S, Perraton L, Bowles KA, Williams C. 2019. The impact of shoe flexibility on gait, pressure and muscle activity of young children. A systematic review. Journal of Foot and Ankle Research.
  6. Forrest D, Dufek JS, Mercer JA. 2012. Impact characteristics of female children running in adult versus youth shoes of the same size. Journal of Applied Biomechanics.
  7. 世田谷区 子ども・若者部 保育課(看護師業務連絡会 編集), 2026. 保健だより 春号(令和8年5月):子どもの靴選び. 世田谷区.
  8. Klein C, Groll-Knapp E, Kundi M, Kinz W. 2009. Increased hallux angle in children and its association with insufficient length of footwear: a community based cross-sectional study. BMC Musculoskeletal Disorders.
  9. Matthias E, Banwell HA, Arnold JB. 2021. Children’s school footwear: The impact of fit on foot function, comfort and jump performance in children aged 8 to 12 years. Gait & Posture.
  10. 上田恵子, 國土将平, 2017. 幼児における足長の季節変動と身長および体重の発育速度との関連. 神戸大学大学院人間発達環境学研究科研究紀要.
  11. Yurt Y, Sener G, Yakut Y. 2014. Footwear suitability in Turkish preschool-aged children. Prosthetics and Orthotics International.
  12. Gross RH. 1986. Foot pain in children. Pediatric Clinics of North America.